勝ちへのこだわり

 負けず嫌いって、その子の持って生まれた気質であったりするもので、その子自身の性格ぐらいに割り切ることが大切です。また成長する中でその気質はとても重要な要素にもなりえるものだと思います。

 では、勝ちにこだわる子の問題点は、負けたそうになった時には途中で投げ出したり、また、負けた時にはこの世の終わりのような絶望感を感じていたり、負けを認めなかったりと…。

 「勝ちたい」という気持ち=「頑張りたい」という向上心

 勝ちにこだわる子だからこそ「負けたとき」にどう対応するかがポイントになってくるようです。しっかり気持ちを受け止めつつ、どんな時でもその“頑張り”を褒めてあげましょう。

 勝った時にはもちろん、負けた時もその過程をしっかり褒める。褒める事によって、勝っても負けても次に頑張れるエネルギーへと変わります。

褒めるとは

 私たち大人は、子どもの不適切な行動や言動、できない部分などについ目がいってしまいがちで、気がつけば一日注意してばかりいた…ということもよく聞く話です。

 しかし、子どもにはやはり褒められることが必要です。褒められることで自信や自己肯定感が高まり、良い行動や適切な行動を増やしながら、子どもを良い方向に伸ばしていくことにつながります。

 私たちが思っている『褒める』とは、一言で言うと『可能性を広げる』ことです。

 と言うことは、褒めることによって、可能性は無限大に広がっていきます。なんだかとてもワクワクしませんか?

 子どもの頃の経験・体験はその後の人生を大きく左右するものなので、子どもの将来をしっかりと見すえながら、どんな小さなことでも褒めていきましょう。

 では今日から早速実践してみましょう!目標一日30回…。

 継続は力なり…

環境変化

 いつもと違う日、例えば通っている園ではたくさんの行事があると思います。そんな行事の日は、”場所”・”人”・”雰囲気”など、様々なことがいつもと異なるため、緊張したり、不安になったり、パニックなってしまう等、行事が苦手な子どもも多くいます。

 私たちも子どもの頃、運動会や遠足などの行事の前日はドキドキしてしまい、なかなか眠れなかったりしたことはありませんか?それは、「いつもと違う楽しいことがある」と知っていたから、ドキドキ・ワクワクしていたんです。

 しかし、いつもと違うことが苦手な子どもにとっては、日常に安心感があるため「いつもと違う!」「どうしよう…。」と、不安になり緊張が強くなってしまいます。

 では対応として、その活動はどんなことをするのか、子どもに対して事前に”具体的”に活動の内容を説明することが大切です。説明する時には、昨年に実施した行事活動の写真やビデオなどを見ながら、映像と共に伝えてあげると、子どもにとってはイメージし易く、活動に対して見通しを持てることで安心につながると思います。

 しかし、事前に知らされていてもその場の雰囲気などにどうしても対応できない子どもいます。そんな時は、子どもの不安な気持ちや驚いた気持ちなどをくみ取ってあげて、その気持ちを認めてあげることも大切です。

 活動には、必ずそれぞれの狙いがあり、子どもの成長につながっていく内容になっています。活動に参加できたことや、その日のために一生懸命練習してきたことがすでに成果となっているので、しっかり褒めてあげましょう。次の活動への自信に繋がっていきます。

自己肯定感

 自己肯定感とは、人生における自分の価値や存在意義を認める感情です。

 自分を認められなければ、日々の生活から現在、未来に対してマイナス思考になってしまいがちです。

 しかし実は、この自己肯定感は私たちの日々の生活の中で意識的にも無意識的にもいつも接している感情でもあります。それだけ人生を左右する重要な要素だということです。

 自己肯定感を高めることが、今後の人生を切り拓き、良い結果をもたらしていけるといってもいいでしょう。

 きっずぱれっとに通ってこられる子ども達は、失敗体験を積み重ねやすく、“できないこと”を人と比べて、劣等感を感じやすく、どうしても自己肯定感が低くなってしまいがちです。

 自己肯定感が低い状態では、活動に対してのやる気や意欲が低下していて、時には活動に取り組む事すらできない状態になってしまうこともあるので、自己肯定感を高めていくことがとても大切になります。

 では、自己肯定感を高めるためにとても重要なことがあります。

 それは“褒め、認める”ことです。

  “褒める”とは、子どもが頑張った時や何かができるようになった時、よい結果を出した時やその過程において、「頑張ったね」「すごいね」といったように、一緒に喜び、子どもの努力や達成、その過程について“褒める“ことです。

 “褒める”ことは、とても大切ことですが、それだけでは、自己肯定感はうまく育まれません。

 “認める“とは、何か特別なことがなくても、親の無条件の愛情のように、子どもの存在自体を認めてあげることです。 “褒め、認める”ことが、子どもの自己肯定感を育み、生きる力につながるのです。

巧緻性

 『巧緻性』という言葉を耳にしたことがありますか?巧緻性とは、一般的に手先の器用さを意味します。

 大人は普段の生活で当たり前に、はさみを使ってものを切ったり、紐を結んだりしていますよね。ですが、「こういった手先の細かな作業がなかなかうまくできない・・・」という子どももいらっしゃると思います。

 では、巧緻性を高めるためには、どのような取り組みが効果的なのでしょうか?

 きっずぱれっとでは、午後のクラスに制作活動を取り入れています。はさみで切る・のり付け・お絵描きを中心に行っています。紙を回しながら切る作業や、のりの量を調節して貼る作業などで、細かい指先の動き(微細運動)を練習しています。はさみの持ち方はもちろん、貸し借りをする際の人に対しての渡し方など、就学に向けて基本的な道具の使い方を学ぶことも目的としています。またそれだけではなく、工程を聞きながら工作を進めていくことで、一斉指示理解のトレーニングにもなります。

 自由遊びの中でも・・・

 きっずぱれっとの療育プログラムのなかに「遊びの時間」を設けています。その遊びの時間に登場する玩具、例えばレゴブロックやジスター等でも「巧緻性」と「微細運動」のトレーニングを行えます。

 巧緻性を高めることで・・・

 指先が器用になる事はもちろん、集中力を身につける事にもつながっていきます。出来上がった作品だけでなく、”頑張っている姿に対しても”しっかり褒めてあげましょう!

声の大きさについて

 皆さんは声の大きさを意識して学習したことがありますか?声の大きさを場所や状況に合わせて使い分けることは、もしかしたら暗黙の了解で覚えてきたことかもしれません。『暗黙の了解』といった明確でないことが苦手な子がいます。しかし見方を変えると、明確に学習をすればしっかりと覚えることができるこどもです。では曖昧な物を明確にするために、目に見えない声の大きさを目に見えるように図示して分かりやすく伝えることで、状況に合わせて行動することができます。

 きっずぱれっとでは声の大きさ表を使って5段階の声の大きさを練習しています。子どもたちが分かりやすいように動物の絵を使用した声の大きさ表で、まずは動物の大きさを確認して、実際にその声の大きさを出してもらいます。

 例えば、集団活動の際には、『らいおんさんの声で』と声の大きさを伝え、返事を促します。

 「声が大きいよ」「もう少し小さい声で話そうね」などの抽象的な声掛けでは子どもは分かりにくく、『もう少し小さいってどのくらいだろう』と子どもは思ってしまいます。

 『もう少し』とはどれくらいのことを示すのか、場面に応じた適切な声の大きさを伝えてあげることでお子さまも意識できるようになります。外で遊ぶ時や、人前で発表するときはには“らいおんさんの声”、室内で遊ぶ時には“うさぎさんの声”など状況と動物をマッチングさせて伝えていきます。

 また、実際に声の大きさを普段の生活でも調整できるようにするためには、習慣化することが重要です。きっずぱれっとでは、活動の中で声が大きかった場合「うさぎさんの声でお話ししようね」というような声掛けを行っています。

 ご家庭でも一緒にやってみましょう。生活の中で繰り返し続けていくことで場面と声の大きさがマッチングでき、習慣化していきます。少しづつ意識できるように手助けをしつつ、出来ていたときにはたくさん褒めてあげましょう。

スモールステップ

 私たちも仕事や普段の生活の中でも目標を設定することはあると思います。

 例えばダイエット!「5キロ痩せよう」と目標を立ててもなかなか達成することが難しく、戦意喪失してしまうことありませんか?でも「1キロ痩せよう」と目標を設定することで、達成できるかもと感じてしまいます。

 つまり、本人がやる気になるぐらいの“適度な目標”を設定することが肝要となります。

 療育においても同様です。その子どもがどんな目標だったらがんばれるかを見極めて目標を設定します。

 子ども自身が「できた!」と達成感を感じることが適度にあると達成意欲が増します。一方で、目標は高くはないが「できた!」と感じるまでに時間を要するものであれば、子どもの達成意欲は段々と低下していきます。

 つまり、目標はがんばれる目標であり、かつ小刻みに設定する「スモールステップ」である必要があります。

 また、子どもにとっては、できた時に『褒めらる』ことによって、達成感を感じることができます。

 たくさんの小さな「できた!」が結果として大きな目標達成に繋がります。たくさんの「褒め」を積み上げましょう!

距離感

 人にはそれぞれちょうどいい「距離感」がありますが、このパーソナルスペースが「広い」「せまい」ことでの多くのトラブルの基にもなっています。

 では具体的な対応として、先ずは子どもの気持ちを言葉に出して伝え、共感することです。くっついてきた時は「くっつきたいんだね」等と、子どもの思いを言葉にしてあげることから始めます。

 思うままに行動して、自分が何をしているかわかっていない場合もあるので、言葉で理解させることは重要です。また子ども同士で「もうベタベタくっつくの嫌だよね〜」と会話をする子もいるので、言語化しておくと「私やってる!」と気づいてやめることがあります。

 次に、子どもにとって、『くっつく』=「嬉しい・楽しい」表現の一つになっているます。くっつくだけが「嬉しい・楽しい」表現ではないことを伝えていきましょう。モノを手渡したり、ハイタッチ、握手、一緒にソファーにすわってTVをみる等、これらも立派な表現です! このように、くっつく以外にも、「嬉しい・楽しい」という気持ちを共有できる方法があることを伝えてあげましょう。

 また、子どもに距離の取り方を教えてあげる時には「離れて」「近づかない」「広い」「せまい」ではうまく伝わりません。具体的な距離感を言葉にして伝えることが重要になります。例えば、「前ならえ」をしたときに相手にぶつからない広さや、机1個分はあけようね等、きっずぱれっとでは40センチのジョイントマット敷いているので、マットの変わり目を使ったりしています。

 そして一番重要なこと、それは子どもが『適切な距離感を保てている』ときにはしっかり褒めてあげることです。

成功体験

 きっずぱれっとでは、個別活動・集団活動・自由遊び等にルールがあり、ルールを守ると花丸カードが渡されます。

 達成できた時にはその都度、子どもが分かるように褒めてあげ、「できているんだ!」「お約束を守ることができたんだ!」と理解できるように花丸カードを渡し、声かけをしています。

 また、できなかったところを指摘するのではなく、できたことをたくさん評価し、小さな成功体験を積み重ねさせてあげることで、子どもたちの成長に繋がっていきます。

 小さな事でも“出来ていること”を見つけてあげ、たくさん褒め、そして大きな花を一緒に咲かせましょう!

療育とは

 「療育」って…。何か特別な事なのでしょうか?私たちは「保護者と一緒にていねいな子育てをする」ことだと考えています。

 人の行動には“理由”があります。普段の生活であまり考えることがないかもしれませんが、人は「面白いから→笑う」「悲しいから→泣く」「おなかがすいたから→食べる」…よくよく考えると日々の何気ない行動にも何かしら理由がみつかります。そして、大半の人はこの理由と行動のつながりが似ていることが多いのです。

 でも、「どうしていいのかわからないから→笑った」「ドキドキして不安だったから→ふざけた」「その場にいたいから→飛び跳ねた」この理由と行動のつながりは、一見わからないことだらけのように思えます。

 明らかな遅れはないけれど発達に凸凹のある子どもたちの行動の理由(背景)は、このようにちょっとわかりにくいことも多く、そのため周囲から「どうして?」「なんで?」と思われることがあります。

 そして、目に見える行動だけで判断され、誤解されることも多いです。気持ちが沈むのは誤解された子どもだけでなく、「どうして?」「育て方のせい?」と悩んでいる保護者の方も同じではないでしょうか。

 “子育てに悩みはつきもの”や”子育てに正解はない”とよく言われますが、でもなかなか答えがみつからない悩みを抱え続けることや、周囲の人と悩みを共有できないことは、不安なことだと思います。

 きっずぱれっとでは、子どもたちの「知ってほしい!わかってほしい!」想いや、保護者の方の「こんなことができたらいいね」、「こんな子になってね」という想いに応えられるよう、子どもたちの行動の背景を保護者の方と一緒に考え、ひとりひとりに合わせた工夫をみつけ、「保護者の方と一緒にていねいな子育て」をしていきたいと思います。また、同じような想いを抱えているお父さん・お母さんと出逢い、悩みや不安を共有していただける場になればと思います。