パズルの5つ効果

 パズルは「脳を活性化させるため、子どもの成長にはとても有効的な遊び」と言われ、指先が器用さ、観察力、想像力、集中力、記憶力等に効果があります。

 ピースをはめたり、はずしたりなど、手や指を動かすことで、しだいに細かな作業を行えるよう、指先の器用さを養います。

 出来上がりの絵をしっかりと見て特徴をつかまないとパズルの完成はできません。また、組み立てているときも、「この柄はここにあった」や「こっちはこうだった」などしっかりと観察して見極めていく力が必要になってきます。その為パズル遊びをしていると観察力が徐々についていきます。

 パズルの絵柄などイメージして組み立てていき、完成させるためにはそのイメージを保ったまま組み立てていく必要があります。イメージをしながら組み立てていくときに想像力が問われることになり、遊んでいる中で力がついていきます。

 パズルは「完成させたい」という思いから、じっくりと遊ぶ経験をすることになります。夢中で遊ぶという経験をたくさん積むことによって、それが「集中している」という経験になり結果として集中力の向上につながっていきます。

 観察力、想像力ともつながってくるのですが、「最初に見た絵柄を覚える力」や「その絵を思いだす力」などはすべて記憶力とつながっています。

 このようにパズルには5つの効果がありますが、スモールステップで簡単なパズルから始めることにより、自己肯定感を高めながら行うことがさらなる効果に繋がります。

バランスセンサー

 子どもの立っている姿勢やバランスが悪くて、”フラフラして見える”といったことはありませんか?

 ここで問題です。「立っている時に、バランスをとっているのはどこだと思いますか?」

頭?  体幹?  骨?     ・・・答えは、『足の裏』です。

 足の裏には感覚受容器がたくさんあり、それがどの位置に体重がかかっているのか?真っすぐなのか?傾いているのか?という状態で常にバランスセンサーの役割を果たしています。

 しかし最近の子どもたちは、このセンサーがうまく働いていないことが多いようです。それは、なぜでしょうか?

 その原因の一つに、遊び方があります。昔に比べて外で遊ぶ時間が少なくなったり、裸足になることが減ったり、公園などの環境変化や靴の性能が良くなったことで、足裏への刺激や脚を使うという事が減った事が影響されているようです。

 本来加齢とともに受容体は減っていくのですが、子どもの内から少ない状態の子が増えているのです。では、このセンサーを働かせるようにするためにできることは、どんなことでしょう?それは、足の指を動かしたり、わざとバランスの悪い状況で動くことです。なぜ、バランスを悪くして動くことが良いのかというと、足裏の感覚受容器は脳とつながっており、良いバランスを身につける為にたくさんの失敗経験が必要になります。失敗経験を脳に記憶させることで、正しいバランスが養われていくのです。

 あえて足元に不安定な物を置いたり、障害物の中で動いたり、片脚立ちの状態で身体を動かす等、バランスの悪い状況の中でたくさん動き、失敗経験を多く脳に送っていきましょう。

褒めるとは

 私たち大人は、子どもの不適切な行動や言動、できない部分などについ目がいってしまいがちで、気がつけば一日注意してばかりいた…ということもよく聞く話です。

 しかし、子どもにはやはり褒められることが必要です。褒められることで自信や自己肯定感が高まり、良い行動や適切な行動を増やしながら、子どもを良い方向に伸ばしていくことにつながります。

 私たちが思っている『褒める』とは、一言で言うと『可能性を広げる』ことです。

 と言うことは、褒めることによって、可能性は無限大に広がっていきます。なんだかとてもワクワクしませんか?

 子どもの頃の経験・体験はその後の人生を大きく左右するものなので、子どもの将来をしっかりと見すえながら、どんな小さなことでも褒めていきましょう。

 では今日から早速実践してみましょう!目標一日30回…。

 継続は力なり…

環境変化

 いつもと違う日、例えば通っている園ではたくさんの行事があると思います。そんな行事の日は、”場所”・”人”・”雰囲気”など、様々なことがいつもと異なるため、緊張したり、不安になったり、パニックなってしまう等、行事が苦手な子どもも多くいます。

 私たちも子どもの頃、運動会や遠足などの行事の前日はドキドキしてしまい、なかなか眠れなかったりしたことはありませんか?それは、「いつもと違う楽しいことがある」と知っていたから、ドキドキ・ワクワクしていたんです。

 しかし、いつもと違うことが苦手な子どもにとっては、日常に安心感があるため「いつもと違う!」「どうしよう…。」と、不安になり緊張が強くなってしまいます。

 では対応として、その活動はどんなことをするのか、子どもに対して事前に”具体的”に活動の内容を説明することが大切です。説明する時には、昨年に実施した行事活動の写真やビデオなどを見ながら、映像と共に伝えてあげると、子どもにとってはイメージし易く、活動に対して見通しを持てることで安心につながると思います。

 しかし、事前に知らされていてもその場の雰囲気などにどうしても対応できない子どもいます。そんな時は、子どもの不安な気持ちや驚いた気持ちなどをくみ取ってあげて、その気持ちを認めてあげることも大切です。

 活動には、必ずそれぞれの狙いがあり、子どもの成長につながっていく内容になっています。活動に参加できたことや、その日のために一生懸命練習してきたことがすでに成果となっているので、しっかり褒めてあげましょう。次の活動への自信に繋がっていきます。

体幹や体のバランス

 体年、子どもの体力低下や運動不足で、体幹や体のバランスの弱さが問題視されています。

 イスにしっかり座れずに、時間と共に体が崩れたり、背筋を伸ばした姿勢が作れなかったり、長時間同じ姿勢を保てない。また、紙に字や絵を書いている時に、体が傾いていたり、座っていて「疲れた~」という訴えが多いなど。

 このようなお子様の姿勢を見かけませんか?これらの原因は単に「体幹の筋力が弱いから」というだけではなく、様々な要素があるのです。

 姿勢の保持には、体幹の筋力・持久力・運動の学習効果・足裏への刺激などがあります。

 そこで、体幹を鍛える最も手軽な方法として、「雑巾がけ」をお勧めします。この雑巾がけも最近では、便利で簡単にできるモップなどを使うため、その機会も少なくなっています。理想的なフォームで行うと、体幹・腹筋・お尻・太もも・ふくらはぎ・いわゆる下半身全部が鍛えられ、体のバランス力や基礎代謝が上がります。おまけに腕・肩・足の親指も同様に鍛えられるので、どんどんやりましょう。また、「雑巾がけ」は集中力・瞬発力・注意力・コントロール力が備わってないと、なかなかうまくできないのが「雑巾がけ」です。

ぜひご家庭でも試してみてください。

感覚統合

 私たちは、光や音などのたくさんの刺激に囲まれながら生活しています。そのたくさんの刺激が身体に加わっていることを感じるはたらきを感覚といいます。人間の感覚には、「自分で意識しやすい感覚」と「ほとんど自覚せずにつかっている感覚」の2つがあります。まず,「自分で意識しやすい感覚」には,既によく知られている五感(触覚、視覚、聴覚、味覚、嗅覚)です。次に「ほとんど自覚せずにつかっている感覚」には触覚、固有感覚(手足の状態・筋肉の伸び縮みや関節の動きを感じる感覚)、平衡感覚(身体の動きや傾き、スピードを感じる感覚)があります。

 感覚は人それぞれ、感じ方の強弱や程度に差があります。例えば同じ温度の食べ物を食べても「とても熱い」と感じる人と、「全然熱くない」と感じる人がいるように、すべての感覚は一人ひとり感じ方が違ってきます。これらの感覚は、生活していると、絶えずさまざまな感覚器官から入ってきます。私たちの脳は、このたくさんの感覚をきちんと分類したり整理したりすることができ、これを統合といいます。人がその場の状況を判断して,それにふさわしい反応をするために欠かせないものです。このように,人の発達の中で,脳が内外からのたくさんの刺激を有効に利用できるよう,能率的に組み合わせることを「感覚統合」といいます。

 エアーズ博士(アメリカの作業療法士)は、この統合という機能は言わば交通整理をしている警官のようなものと例えています。たくさんやってくる車を警官がきちんと整えることでスムーズに車が走ることができるように、身体に入ってくる感覚に対して統合機能が正しくはたらくことで、正しく感覚を整理し、取り入れることができます。しかし交通整理ができていないと、車はどこを走っていいか分からなくなり、混乱し、渋滞してしまいます。統合がうまくいかないと、次々にやってくる感覚の強弱を調整したり、感覚を受け入れる量を調節することがうまくできず、混乱してしまうという状態を引き起こしてしまうのです。

 このはたらきによって、その場その時に応じた感覚の調整や注意の向け方ができるようになり、自分の身体を把握する、道具を使いこなす、人とコミュニケーションをとるというような周囲の状況の把握とそれをふまえた行動ができるようになります。

 感覚統合は幼少期の日常生活の遊びや生活の中で完成されていきます。このことからも分かるように,感覚統合に働きかけるために大切なことは,対象の子どもが何をやりたいと思っているかをしっかり把握することです。子どもは,その発達段階においてー番適した感覚経験を求めるものです。

 つまり,子どもが欲しがる刺激がその時に一番必要な感覚刺激であったりします。

  • 身体の触れ合う遊び(くすぐり、ごっこ、抱きしめ、ボールプール等)
  • 人にしてもらいって楽しい活動(抱っこ、クルクル回ったり等)
  • 人に手伝ってもらって楽しい活動(トランポリン等)
  • 人とやりとり遊び(キャッチボール等)

 普段私たちが目にする子どもの姿は氷山の一角で、その土台となっているのが五感、固有感覚、平衡感覚なのです。これらはいわば積み木で作ったピラミッドのようなもので、土台となる一番下の積み木が1つでも抜けたり、不安定だったりすると、2段目、3段目の発達が脆弱になり、感情や学習・生活態度にまで影響を及ぼしてしまいます。

自己肯定感

 自己肯定感とは、人生における自分の価値や存在意義を認める感情です。

 自分を認められなければ、日々の生活から現在、未来に対してマイナス思考になってしまいがちです。

 しかし実は、この自己肯定感は私たちの日々の生活の中で意識的にも無意識的にもいつも接している感情でもあります。それだけ人生を左右する重要な要素だということです。

 自己肯定感を高めることが、今後の人生を切り拓き、良い結果をもたらしていけるといってもいいでしょう。

 きっずぱれっとに通ってこられる子ども達は、失敗体験を積み重ねやすく、“できないこと”を人と比べて、劣等感を感じやすく、どうしても自己肯定感が低くなってしまいがちです。

 自己肯定感が低い状態では、活動に対してのやる気や意欲が低下していて、時には活動に取り組む事すらできない状態になってしまうこともあるので、自己肯定感を高めていくことがとても大切になります。

 では、自己肯定感を高めるためにとても重要なことがあります。

 それは“褒め、認める”ことです。

  “褒める”とは、子どもが頑張った時や何かができるようになった時、よい結果を出した時やその過程において、「頑張ったね」「すごいね」といったように、一緒に喜び、子どもの努力や達成、その過程について“褒める“ことです。

 “褒める”ことは、とても大切ことですが、それだけでは、自己肯定感はうまく育まれません。

 “認める“とは、何か特別なことがなくても、親の無条件の愛情のように、子どもの存在自体を認めてあげることです。 “褒め、認める”ことが、子どもの自己肯定感を育み、生きる力につながるのです。

巧緻性

 『巧緻性』という言葉を耳にしたことがありますか?巧緻性とは、一般的に手先の器用さを意味します。

 大人は普段の生活で当たり前に、はさみを使ってものを切ったり、紐を結んだりしていますよね。ですが、「こういった手先の細かな作業がなかなかうまくできない・・・」という子どももいらっしゃると思います。

 では、巧緻性を高めるためには、どのような取り組みが効果的なのでしょうか?

 きっずぱれっとでは、午後のクラスに制作活動を取り入れています。はさみで切る・のり付け・お絵描きを中心に行っています。紙を回しながら切る作業や、のりの量を調節して貼る作業などで、細かい指先の動き(微細運動)を練習しています。はさみの持ち方はもちろん、貸し借りをする際の人に対しての渡し方など、就学に向けて基本的な道具の使い方を学ぶことも目的としています。またそれだけではなく、工程を聞きながら工作を進めていくことで、一斉指示理解のトレーニングにもなります。

 自由遊びの中でも・・・

 きっずぱれっとの療育プログラムのなかに「遊びの時間」を設けています。その遊びの時間に登場する玩具、例えばレゴブロックやジスター等でも「巧緻性」と「微細運動」のトレーニングを行えます。

 巧緻性を高めることで・・・

 指先が器用になる事はもちろん、集中力を身につける事にもつながっていきます。出来上がった作品だけでなく、”頑張っている姿に対しても”しっかり褒めてあげましょう!

声の大きさについて

 皆さんは声の大きさを意識して学習したことがありますか?声の大きさを場所や状況に合わせて使い分けることは、もしかしたら暗黙の了解で覚えてきたことかもしれません。『暗黙の了解』といった明確でないことが苦手な子がいます。しかし見方を変えると、明確に学習をすればしっかりと覚えることができるこどもです。では曖昧な物を明確にするために、目に見えない声の大きさを目に見えるように図示して分かりやすく伝えることで、状況に合わせて行動することができます。

 きっずぱれっとでは声の大きさ表を使って5段階の声の大きさを練習しています。子どもたちが分かりやすいように動物の絵を使用した声の大きさ表で、まずは動物の大きさを確認して、実際にその声の大きさを出してもらいます。

 例えば、集団活動の際には、『らいおんさんの声で』と声の大きさを伝え、返事を促します。

 「声が大きいよ」「もう少し小さい声で話そうね」などの抽象的な声掛けでは子どもは分かりにくく、『もう少し小さいってどのくらいだろう』と子どもは思ってしまいます。

 『もう少し』とはどれくらいのことを示すのか、場面に応じた適切な声の大きさを伝えてあげることでお子さまも意識できるようになります。外で遊ぶ時や、人前で発表するときはには“らいおんさんの声”、室内で遊ぶ時には“うさぎさんの声”など状況と動物をマッチングさせて伝えていきます。

 また、実際に声の大きさを普段の生活でも調整できるようにするためには、習慣化することが重要です。きっずぱれっとでは、活動の中で声が大きかった場合「うさぎさんの声でお話ししようね」というような声掛けを行っています。

 ご家庭でも一緒にやってみましょう。生活の中で繰り返し続けていくことで場面と声の大きさがマッチングでき、習慣化していきます。少しづつ意識できるように手助けをしつつ、出来ていたときにはたくさん褒めてあげましょう。